ワットパークナムはバンコクにある仏教寺院です。
古くはアユタヤ時代に作られた寺院ですが、タイのモダンなデザインで装飾された大仏塔が外国人観光客にも人気のスポットとなっています。
特に宇宙的ともいえる色彩のエメラルド仏舎利塔は、他にはなかなか見られない空間ですので、ぜひ訪れてもらいたいです。
ただし、ワットパークナムはタイの中でも特に尊敬を集める神聖な寺院です。
そのため、見学する際には少し気を付けたいことがあります。
今回は、ワットパークナムの見どころから行き方、その楽しみ方と観光の注意点まで、まとめてお届けします。
ワットパークナムとは
ワットパークナムは、正式名称「ワット・パークナム・パシチャロエン」といいます。
バンコクのパシチャロエン地域にある寺院で、アユタヤ王朝時代の1610年に建設されました。
ワットパークナムで有名な大仏塔は、前国王ラーマ9世の妃の72歳の誕生日を記念して建てられ、2012年に完成しています。
この塔は高さ80mで、その先端には黄金を100㎏も使用した宝珠が置かれています。
敷地内はかなりの広さがあり、僧侶や尼僧の居住区には複数棟の建物が建てられています。
ワットパークナムの歴史
ワットパークナムは1610年に建立され、ラーマ3世の時代に王室寺院に指定されました。
一時期、王室のサポートを離れ、荒廃した時期もありましたが、20世紀に入り再び復興しています。
今では、その美しさや文化的価値がタイの人々に支持されています。
最近では2012年に、ラーマ9世と妃の誕生日を記念して大仏塔が建てられました。
美しい大仏塔はフォトジェニックな撮影スポットとして、旅行者の人気を集めています。
ワットパークナムの名前の由来
ワットパークナムの名前の由来ですが、「ワット」はタイ語で寺院という意味ですね。
「パーク」は「口」、「ナム」は「川」を意味する単語です。
つまり、全体で「河口の寺院」という意味になります。
運河の近くに建てられたので、この名前が付けられました。
正式名称は、「ワット・パークナム・パシチャロエン」ですが、「パシチャロエン」はこの寺院が建っている地区の名前です。
ラーマ5世の治世においては、近くの運河で通行料を徴収するための水門が作られました。
この水門が「パシチャロエン水門」と呼ばれたので、これに紐ついて「ワット・パークナム・パシチャロエン」と名づけられたともいえます。
ワットパークナム最大の見どころは大仏塔
ワットパークナム観光において、最大の見どころは大仏塔です。
ラーマ9世とその妃の誕生日と健康を祝って建設されたのが、ワットパークナムの大仏塔です。
高さ80mもある大規模な塔で、土台の部分は52m辺の正方形となっています。
ワットパークナム大仏塔は5階建てになっており、中に入って見学することができます。
5階まで階段で上り下りすることになりますが、土日はエレベーターも使えます。
ワットパークナムの大仏塔は大理石で作られています。
中に入るときは靴を脱いで上がりましょう。
露出の大きな服装での入場はできません。
入口で法衣を貸し出しているので、露出度の高い服装をしている人は、これを羽織って参拝しましょう。
1階:芸術と文化遺産の展示室
ワットパークナム大仏塔の1階にはタイの芸術や文化遺産に関連したアイテムが展示されています。
船や食器、お札など、タイの文化を伝える展示物を見学できます。
2階:セレモニーホール
2階は赤いじゅうたんが敷かれた広いスペースがあり、多くの人々が集まって使用できるセレモニーホールになっています。
宗教的儀式や会議などに使われることもありますが、瞑想イベントなども開催されているようです。
神聖な場所として、奥にはプミポン国王の肖像画が掛けられています。
3階:博物館
ワットパークナム寺院の大仏塔、3階は博物館となっています。
ここには、かつて住職を務めた高僧が使用していた小物や所有物が展示されています。
その他にさまざまな形とサイズの仏像が置かれています。
曜日ごとの仏像も置かれているので、誕生日や記念日の曜日ごとの仏像に願い事を祈願してみましょう。
願い事が叶いやすくなるかもしれません。
4階:ルアン・ポー・ソット師の仏像
大仏塔の4階には、高僧ルアン・ポー・ソット師の仏像が置かれています。
金色の柱に囲まれた中に、金色の仏像が置かれており、見ごたえがあります。
5階:エメラルドの仏舎利塔
ワットパークナム寺院の大仏塔で最も人気があるのが、5階のスペースです。
総製作費約7,000万円をかけて作られた、エメラルドの仏舎利塔があります。
美しい天井画の下に、ガラスを800枚積み上げてできた高さ8m、幅7mの塔が置かれています。
その周りには28のブッダと菩提樹が描かれており、その色調はミステリアスな雰囲気が漂っています。
それぞれのブッダの絵には名前と意味がついていて、ブッダの生涯が豊かに表現されています。
エメラルド仏塔の下には、ヤーク(蛇神)が置かれています。
80もの頭を持つヤークで、繊細な作りは時間を忘れて見入ってしまうくらいです。
お釈迦様が亡くなったときの年齢が80歳だったことから、80頭のナークが作られたといいます。
周りを囲む4本の柱は金細工が施され、美しいですが、この柱には触れてはいけないことになっていますので、気を付けてくださいね。
5階からはテラスに出て景色を眺めることもできます。
ワットパークナム観光その他の見どころ
ワットパークナムを訪れる際には、エメラルド仏舎利塔がある大仏塔は見逃せません。
でも、それ以外にも見どころがあります。
大仏
大仏塔の横にあるのが巨大な黄金大仏です。
2021年に完成した大仏で、タイでは3番目に規模が大きいといわれています。
その高さは69mで、瞑想姿勢の大仏としては世界で最も高いともいわれています。
25階建ての建物と同じくらいの高さですので、かなり目立っています。
高僧ルアン・ポー・ソット師が瞑想しているときに、この姿のブッダを見たのだそうです。
それで2017年より4年の歳月をかけて建設されました。
金色の大仏ですが、実際には青銅で作られています。
本堂
大仏塔と黄金大仏ほどのインパクトはありませんが、本堂も忘れず見学してみてください。
ワットパークナムの本堂はアユタヤ時代に作られたもので、2階建てとなっています。
20世紀に住職を務めていたルアン・ポー・ソット師は瞑想の達人として尊敬を集めています。
彼は「タマカーイ式瞑想」を完成させた人物です。
その功績をたたえて、彼の遺体は火葬されないまま、本堂の2階に安置されています。
地元の人々は1階で参拝したあと、2階のルアン・ポー・ソット師にお参りし、瞑想を行います。
本堂にあるルアン・ポー・ソット像には、びっしりと金箔が貼られています。
この金箔には願い事が込められています。
本来タイの寺院では女性は仏像や僧侶に触ってはいけないことになっています。
でも、願い事祈願のための金箔を仏像に貼るのは問題ありません。
仏像の隣には象の像があり、こちらに金箔を貼ることもできます。
ワットパークナムにゆかりの深い高僧ルアン・ポー・ソット師
ワットパークナム寺院がこれほどまでにタイ人の信仰を集めているのには、高僧ルアン・ポー・ソット師が関係しています。
彼は「タマカーイ式瞑想」という新しい瞑想のスタイルを普及させた人物です。
この瞑想方法は、出家者だけでなく在家信者であっても、正しい方法で行えば瞑想によって功徳を積み、守護力を得られるという特徴があります。
タマカーイ式瞑想は当時のタイ仏教の世界では、好ましくないと考えられていました。
しかし、その後メディアに取り上げられたことがきっかけでタイ全国に普及していったのです。
それに伴い、ルアン・ポー・ソット師は多くの人々の尊敬を集める存在となりました。
ワットパークナムは、そんなタマカーイ瞑想を世に普及させたルアン・ポー・ソット師ゆかりの寺院として、タイ人にとって非常に神聖な場所となっているのです。
彼の姿は仏教施設だけでなく、街の食堂などいたるところにその肖像が置かれています。
それだけ、タイ人にとって大きな存在なのですね。
ワットパークナムへの行き方
ワットパークナム寺院はバンコク、チャオプラヤ川の西側、トンブリー地区に位置しています。
BTSなどの交通機関を使えば、個人で訪れることも難しくありません。
MRTバンパイ駅から歩く
ワットパークナムまでは、歩いて約10分くらいです。
MRTバンパイ駅の3番出口が近いです。
歩くのが得意な人は地図アプリで確認しながら行くとよいでしょう。
BTSタラートプルー駅からソンテウで行く
BTSタラートプルー駅の3番出口を出て進行方向へ少し歩くと「The MALL」というショッピングセンターがあるので、この前でソンテウに乗ります。
ワットパークナム行きのソンテウは赤色です。
所要時間は約15分くらいです。
乗り込むときに、運転手に「ワットパークナム?」と確認しておくと安心です。
BTSタラートプルー駅からタクシーで行く
同じく3番出口からアクセスするソンテウ乗り場で、タクシーを拾うことができます。
タラートプルー駅の2番出口にはバイクタクシー乗り場があり、バイクタクシーで行くこともできます。
運転手の方から「ワットパークナム?」と声をかけられることもあります。
バイクタクシーの所要時間は約15分で、料金の相場は40バーツです。
バンコク中心からタクシーで行く
たとえば、スクンビットエリアからはタクシーで40分~1時間くらいでしょう。
所要時間は交通状況によってかなり左右されます。
配車アプリを使うのもおすすめです。
ツアーで行く
バンコクや周辺の観光スポットとあわせて効率よく観光地を回るのであれば、ツアーに参加するのもおすすめです。
各旅行会社からさまざまなプランが開催されているので、比較検討してみてください。
バンコク市内のホテルまでの送迎が含まれるツアーも多いです。
ワットパークナムの別院が日本に存在する!
実はワットパークナムの別院が日本に建てられています。
場所は千葉県成田市。
日本初のワットパークナム別院は約2,000坪の広い敷地があり、本堂のほかに食堂や休憩室などが置かれています。
タイの寺院と同じような構造になっているため、日本に居ながらにしてタイ寺院の雰囲気満々です。
タイ人の僧侶がいてタイ語でお祈りしてくれます。
日本在住のタイ人の方がお参りする姿もありますが、もちろん日本人の方が参拝することもできます。
タイ寺院ですので、肌の露出が大きな服装は避けるのがマナーです。
タイ国内の祝日や記念日には、さまざまなイベントが行われています。
タイマッサージやタイ料理教室なども開催されています。
意外にも日本との関りが深いワットパークナム寺院なのです。
ワットパークナム観光のベストシーズン
ワットパークナムを訪問するなら、できればベストシーズンに訪れたいと思いますよね。
ワットパークナムが位置するバンコクは、一年中暑い常夏の都市です。
常夏ですが、季節感がまったくないわけではなく、乾季、暑季、雨季の3つの季節に分かれます。
ワットパークナムのベストシーズンは乾季
ワットパークナムは敷地もかなり広いので、散策するなら、雨の少ない乾季に訪れたいものです。
つまり、バンコクの乾季、11月~2月の時期がベストシーズンということになります。
この時期は晴天の日が多く、気温も他の季節に比べると低くて過ごしやすいです。
湿度も比較的低いので、観光するのにも疲労度が小さくてすみます。
暑季は熱中症に注意
3月に入ると、一年で最も暑い「暑季」になります。
この時期は最高気温が40度を越えることもあるので、熱中症対策などをして出かけましょう。
暑さが苦手な人にとっては観光しにくい時期になります。
とはいえ、屋内はエアコンが効きすぎていることもあるので、羽織れるものを一枚携帯するのがおすすめです。
雨季は雨具が必須
6月~10月にかけては気温も高いですが、雨が多くなります。
雨季になりますが、バンコクの雨季はスコールと呼ばれる雨が降ります。
熱帯性の雨で、短時間に大量の雨が降るのが特徴です。
雨が短時間の間にザッと降って、しばらくすると止む、という感じです。
ただ、降るときは半端ない量の雨が降りますので、折りたたみ傘やレインコートなどの雨具は必須アイテムになります。
大雨によりあっという間に道路が冠水することもあります。
とたんに大渋滞が起こることもしょっちゅうですので、時間に余裕をもって計画をたててくださいね。
混雑を避けるには平日
ワットパークナムはタイ国内からの訪問者もたくさん訪れる寺院です。
特に週末や祝日は混み合いますので、静かに参拝したい方やじっくり写真撮影をしたい方は平日の訪問がおすすめです。
また、午後になるとツアーで訪れる旅行者が増えるので、早めの午前中の方が空いています。
つまり、混雑を避けるなら平日の朝がおすすめということになります。
ワットパークナム観光の注意点
ワットパークナムは地元タイの人々にとってとても神聖な場所です。
そのため、訪問する際には少し気を付けたいこともあります。
ワットパークナム観光の際の注意点についてまとめておきます。
露出の大きな服装は避ける
タイの寺院は、肌の露出が大きな服装では入場できません。
タンクトップやキャミソールなどのノースリーブ、短パンやミニスカートでの参拝は避けるようにしてください。
とはいえ、タイは一年中暑いため、普段の観光では夏の格好をしていると思います。
肌を露出するファッションをする場合は、さっと羽織れるものを持参するか、入り口で羽織ものを借りるかするとよいでしょう。
着脱しやすい足元で
ワットパークナムで参拝するときは、入り口で履き物を脱がなくてはいけません。
そのため、着脱しやすい靴で出かけるのがおすすめです。
足元はサンダルなどでも問題ありません。
入り口で靴を脱いだら、ビニール袋に入れて持ち歩くので、靴を盗まれる心配なくゆっくり参拝できます。
神聖な場所でのふざけたポーズはNG
ワットパークナムはインスタ映えする写真が撮れる場所として、日本人旅行者の間で人気が高い観光スポットです。
しかし、タイの人にとっては、数ある寺院の中でも特に格式の高い寺院です。
ときどき、写真撮影に夢中になって、仏像の前でふざけたポーズを取ったり、エメラルド仏舎利塔スペースではしゃぎすぎたりする日本人観光客が問題視されているようです。
日本の神社仏閣で外国人旅行者がふざけた格好で写真撮影するのに夢中になっているのを見れば、あまり気分よく思わないと思います。
それと同じことですよね。
神聖で厳かな場所であることを理解して、マナーを守りつつ参拝しましょう。
特に仏塔や仏像に向かって足を向けたり、その前でヨガのポーズをとったりするのもタブーです。
まわりにいるタイ人の参拝者をみならって、尊敬の念をもって見学するようにしてください。
ワットパークナムで楽しむタイ仏教芸術
バンコクにあって、アクセスも容易なワットパークナムを紹介しました。
見るからに独特の雰囲気を持つ寺院に、行ってみたいと思われたのではないでしょうか。
写真をインスタにアップすれば、「それ、どこ?」とコメントが付くに違いない、ワットパークナム。
ただし、撮影時のマナーは気を付けて行動したいですね。
見どころ満載のワットパークナム。
時間に余裕をもったうえで、見学に訪れてみてください。