バンコク周辺は、平坦な地形の湿地帯のため川の流れが穏やかで、たくさんの運河が作られてきました。当時のタイの運河は交通や生活に活用されて、地元の人たちは水辺で暮らして伝統的な高床式の家屋や、マーケットが形成されました。この記事は、その中でも地元のタイ人や外国人観光客に人気のアンパワー水上マーケットの魅力を紹介します。
アンパワー水上マーケットの基本情報
アンパワー水上マーケットは、バンコクから車で約1時間30分とアクセスが良いため、外国人観光客だけでなく、都会のバンコクで暮らすタイ人たちにも人気のスポットです。ここでは、アンパワー水上マーケットの基本情報を紹介します。
概要
アンパワー水上マーケットは、バンコクの南西約90㎞のサムットソンクラム県のメークロン川のアンパワー運河に位置しています。この市場はタイランド湾の河口に近く、古くから水運の要所として発展してきました。運河の両岸にはタイ伝統の高床式家屋が建ち並び、古き良きタイの水上生活の様子を知ることができます。
- 住所:Ampawa, Ampawa District, Samut Songkhram
- 電話:アンパワー町役場 66-34-751-359(タイ語・英語のみ)
- 営業時間:毎週金・土・日 午後3時~午後9時
- アクセス:バンコクから車で約1時間30分
特徴
アンパワー運河の両岸には全長約500mにタイ料理やタイ式コーヒー、スイーツの屋台、お土産店やマッサージ店などが軒を並べています。このマーケットが開催されるのは週末の午後なので、たくさんのタイ人で賑わいます。
水上マーケットの特徴は、午後3時から夜まで営業するので、バンコクからでもお昼過ぎに出発して半日で十分楽しめます。また、地元の人たちにも人気があるため、外国人向けに開発された水上マーケットとは異なり、食事や買い物は現地価格です。
さらに、夜にはボートに乗って「ホタル観賞ツアー」が開催される魅力たっぷりの水上マーケットです。
アンパワー水上マーケットの楽しみ方
アンパワー水上マーケットでは、運河の両岸の屋台グルメやお土産店巡り、ボートに乗って寺院巡りやホタル鑑賞などのたくさんのアクティビティが楽しめます。ここでは、その中でも、おすすめの楽しみ方を紹介します。
僧侶の托鉢
タイでは、仏教の教えで最も重要な行いとして、お布施や徳を積む「タンブン」が日常生活に根付いています。タンブンは寺院で喜捨、魚や鳥を放つなどがあります。その他にも僧侶の托鉢があります。僧侶は午前中しか食事ができないため、朝6時前に寺院を出て家々を回り托鉢をします。
アンパワーでは、前日泊まった方だけが見られるのが、僧侶の托鉢風景です。托鉢はタイでは日常見られる光景ですが、僧侶がボートを漕ぎながら托鉢するのはアンパワーならではの珍しい光景です。
注意点としては、托鉢は観光目的ではありません。僧侶やタンブンする人たちの邪魔にならないように見学しましょう。また、女性は僧侶に触れてはいけないと言われているので、注意が必要です。
ボートで寺院めぐり
アンパワーでは、ボートに乗ってアンパワー運河の5つの寺院をめぐるボートツアーがあります。ボートツアーの行程は、
- ワット・プムマリンカディトーン
- ワット・トークン
- ワット・バンケークラン
- ワット・バンケーヤイ
- ワット・バーンクン
の寺院です。1つの寺院の観光は20〜30分程度で、全行程で約3時間になります。
ボート乗り場は、運河に架かる橋のたもとで、乗合いボートのツアーは50バーツ(約210円)で、プライベートボートなら600バーツ(約2,520円)です。
ホタル鑑賞
メークロン川には、マングローブの一種のランプの木が生息しており、ホタルはこの木の蜜が好物なのでたくさん寄ってきます。このホタル観賞がアンパワーでは最も人気のツアーで、1年中ホタルを見られますが、5月から10月の雨季はホタルがたくさん見られるおすすめの時期です。
乗合ボートの料金は60バーツ(約252円)、プライベートボートは600バーツ(約2,520円)で、水上マーケット近くの船着き場から午後7時頃出発します。
アンパワー水上マーケットでは3時間以上も観光するところがないので、ホタル観賞が目的なら、午後5時頃到着して食事をしてからツアーに参加するのがおすすめです。
屋台グルメ
アンパワー水上マーケットは、運河の両岸に串焼きや海鮮焼き、スイーツの食べられる屋台が軒を連ねています。ここでは、小舟の上で調理された魚やエビなどの海鮮類を川べりの席で食べられます。
また、歩き疲れた時には、昔ながらの古い建物が残る川沿いのお洒落なカフェ「83KOFF」で冷たいタイティーを飲んでひと休み。
麺料理のクイッティアオでは、バンコクではなかなか食べることのできない南タイの「クイッティアオ・ゲーン・ソム」というカレー味の麺が食べられるお店があります。
タイティー
- 店名:83KOFF
- 住所:83 Rim Klong Amphawa Road, Amphawa
- 電話:66-98-883-8368
- 営業時間:午後6時~午後10時
- 休業日:なし
クイッティアオ・ゲーン・ソム
- 店名:オーガ(โอกาส)
- 住所:Floating Market、Amphawa, Samut Songkhram
- 電話:66-85-261-6255
- 営業時間:金・土・日午前8時~午後8時
お土産
アンパワー水上マーケットでは、ご当地ならではのお土産も販売しています。海が近いアンパワーの名産品は、バンコクの市場でも売られている、首を曲げて樽に詰めた「プラトゥ」という魚のTシャツやクッション、アンパワーの名前が入ったTシャや、ドライフルーツなどが現地価格で購入できます。
夜のマーケット
ホタル鑑賞ツアーから戻り、水上マーケットが近づくとお店の灯りが見え始めます。時間は午後8時頃ですが、まだ多くの人が水上マーケットを楽しんでいます。
ホタルツアーが終わった後の夜のアンパワー水上マーケットは、運河にお店の灯りが水面に写りきらびやかな空間になります。岸辺のカフェでひと休みして、幻想的な景色を眺めるのも夜のアンパワー水上マーケットの楽しみ方です。
アンパワーのロイクラトン
タイの二大祭りは、タイの新年にあたる4月に開催される別名「水かけ祭り」で有名なソンクランと、旧暦12月の満月の夜に開催されるロイクラトンです。
ロイクラトンとは水の霊に感謝するお祭りで、クラトンといわれるバナナの葉で作った台を綺麗に装飾して、火をつけたローソクを立てて水に流す儀式で、日本の灯篭流しのようなものです。
ロイクラトンが近づくと、アンパワー水上マーケットのお店には川に浮かべるための色とりどりのクラトンが並べられ、辺りが暗くなるとアンパワー運河にクラトンが流されて、幻想的な光景が見られます。また、この日は、お店でクラトンを購入すれば水上ボートからも流すことができます。
アンパワー水上マーケット観光に最適なシーズン
タイは1年中暑い気候なので、アンパワー水上マーケット観光はいつ出かけても同じだと思うのではないでしょうか。しかし、南国のタイにも日本と同じように観光に適したシーズンがあります。ここでは、アンパワー水上マーケット観光のベストシーズンや、おすすめのシーズンを紹介します。
タイは3つのシーズン
タイは年間を通して温暖な気候ですが、すべて同じ気候ではなく大きく分けて乾季(11月〜2月)、暑季(3月〜5月)、雨季(6月〜10月)の3つの季節があります。乾季は1年中で最も気温が低く、雨が降らない季節です。
雨季は毎日雨が降りますが、日本の梅雨のように1日中降り続くのではなく、1〜2時間スコールのような強い雨が降る程度です。
暑季は最も気温が高く、日中は40℃以上になることもあるので、タイ人でも極力外出は控えます。
ベストシーズンは11〜2月
アンパワー水上マーケット観光のベストシーズンは、気温が低い乾季です。この時期は雨がほとんど降らないため屋外の観光に適しています。その中でも12月中旬から1月中旬の約1ヵ月は気温が最も低くなるので、最高の観光シーズンです。
観光客が少ない時期3〜5月
アンパワー水上マーケットは人気の観光スポットのため、いつも観光客で混雑しています。そのため、屋台での食事やボートツアーでは順番待ちをしなければならないことがあります。
このような混雑を避けて観光ができるおすすめの時期が、3月から5月にかけての暑季です。この時期のタイの気温は日中40℃を超えることもあるので、地元のタイ人の人たちも外出は控えます。そのため、マーケットには人が少なくなるので、ゆっくり観光ができます。
注意点としては、日中は帽子や傘などで直射日光を避けて、十分な水分補給をして熱中症対策をしましょう。
雨季のシーズン6月~10月
雨季の観光はいつ雨が降るのか分からないので、避けたいと思うのではないでしょうか。アンパワー水上マーケットでは、この時期ならではのおすすめツアーがあります。メインのツアーとして人気の「ホタル観賞」では、最もたくさんのホタルを見ることができるのが雨季です。
ホタルの寿命は約3ヵ月ですが、次々に世代交代するので1年中見ることができます。中でもおすすめの時期は6月から10月の間で、ランプの木に集まるホタルの数は最も多く、ホタルが発する点滅する光は、クリスマスツリーのような幻想的な美しさです。
アンパワー水上マーケット観光の予算
アンパワー水上マーケットへの観光は、自力でロットゥーや鉄道を利用する方法と、タクシーやツアーなどを利用する方法があります。自力で行く場合には費用が安く、ツアーなどを利用すると高くなります。ここでは、それぞれの交通機関を「利用した料金を紹介します。
ロットゥーの予算
バンコクからは2カ所のバスターミナルから小型バスのロットゥーでアンパワーまで行くことができます。
バンコク旧南バスターミナル
バンコク旧南バスターミナル~アンパワー水上マーケット70バーツ(約294円)
チャトチャックバスターミナル
チャトチャックミニバスターミナル~アンパワー水上マーケット90バーツ(約378円)
ツアーの予算
アンパワー観光ツアーは現地の旅行会社で申し込めます。ツアーには往復交通機関、ナイトクルージング(約1時間)の料金が含まれています。
料金は1名2,400バーツ(約10,080円)、料金には往復の交通費(日本語ガイド同行)、ホタル観賞ナイトクルーズ代が含まれます。
- 旅行催行会社:HISタイランド
- 住所:Ellsie Boutique Mall, Unit A4、B10-B11, 1st Floor, 595/22 Soi Sukhumvit 33/1,
- Klongtan Nuea, Wattana, Bangkok
- 電話:66-2-022-0908
- アクセス:RTSプロンポン駅からアソーク方面に徒歩約3分のソイ33/1を入り50mほど進んだ右側
タクシーの予算
アンパワー水上マーケットまで自力で行くのは難しいけれど、時間を自由に使いたい方におすすめなのがタクシーでのアクセスです。タクシーは片道でも利用できますが、現地で帰りのタクシーを見つけるのは大変なので、往復で予約するのがおすすめです。
タクシーの料金は交渉になるので、バンコク中心部からアンパワー水上マーケットまではメーター料金で片道約900バーツ(3,780円)です。往復で乗車する場合は、帰りの料金とドライバーのチップを含めて2,500バーツ(約10,500円)までが目安の料金です。
アンパワー水上マーケットへのアクセス・行き方
アンパワー水上マーケットまでの行き方は、利用する交通機関やツアーによって異なります。海外旅行は言葉や利用方法など日本とは違うので、安全に行くためには事前に覚えておきたいところです。ここでは、それぞれの交通機関を利用した時の行き方を紹介します。
オプショナルツアー
- HISのオプショナルツアー
- 集合:午後3時 マーキュリービラ(The Mercury Ville)BTSチットロム駅からスカイウォークで直結
- アンパワー水上マーケット到着:午後4時30分
- 蛍クルーズ乗船:午後6時30分~午後8時
- バンコクに向け出発:午後8時30分
- バンコク到着:午後10時 インターコンチネンタルホテル(集合場所の道路を挟んだ向かい側)
ロットゥー
旧南バスターミナル
バンコク中心部からは交通の便が悪いので、タクシーを利用して旧南バスターミナルまで行きます。ドライバーが分からない時は(サイタイガオ)「่สายใต้ เก่า」の文字を見せましょう。
- 到着後はチケット売場29番でアンパワー行きのチケットを購入
- 帰りは到着したバス乗り場から乗車
チャトチャックミニバスターミナル
- BTSモーチットまたはMRTガムペーンペット駅からタクシーで約5~15分
- D館の9番窓口でチケットを購入
- 帰りは到着したバス乗り場から乗車
ロットゥーは満車になることが多く帰りのチケットも確保したいので、事前予約がおすすめです。
タクシー、チャーター車
短い乗車時間で簡単に行けて、現地では自由に行動したい方におすすめの行き方は、タクシーかチャーター車です。
タクシー
タクシーは、ドライバーがタイ語しか話せないことが多いので、ホテルのレセプションで必ず往復で予約してもらいましょう。料金は交渉になるので、予約の際に希望の料金を伝えます。
チャーター車
タイでは乗車アプリのGrabとBoltが利用できます。利用方法はどちらも片道だけですが、アンパワーで帰りの車を探すのは難しいので、帰りも頼んでおきましょう。料金はタクシーと同様です。
注意点は、タクシーチャーター車のどちらも帰りの時間と乗車場所はしっかりドライバーと打ち合わせましょう。
アンパワー水上マーケット観光における注意点
アンパワー水上マーケットは、外国人観光客や地元のタイ人などに人気の観光スポットなのでたくさんの人が訪れます。また、バンコクから離れていて交通の便が良いとは言えません。ここでは、アンパワー水上マーケット観光での注意点を紹介します。
交通手段
アンパワーへの交通手段は、ロットゥーやタクシー、ツアーなどです。自力で行く場合はロットゥーが最も安いですが、チケットの購入や乗車場所へのアクセスなどのハードルが高く、帰りの車も心配です。
タイ語や英語が理解できない場合は、自力で行かずに日本語が話せるガイドが添乗するツアーを利用した方が快適に行くことができます。
治安
アンパワー水上マーケットは、外国人観光客や地元のタイ人の人がたくさん訪れます。狭い通路は多くの人で混雑するので、気をつけたいのはスリです。観光やショッピングに夢中になりすぎて自分の荷物のことを忘れてしまうと危険です。スリの被害を防ぐためには自分のバッグは体の前で持ち、財布などはお尻のポケットに入れないなどの対策をしましょう。
チェックしておきたい帰りの時間
午後から夜にかけて開催するアンパワー水上マーケットで注意したいのは帰りの時間です。人気の蛍鑑賞ツアーに出かけると、戻りの時間は午後8時頃になります。ツアーの場合は心配いりませんが、自力で行く場合には最終の交通機関の時間を確認しておきましょう。
まとめ
アンパワー水上マーケットは外国人の観光目的で作られた水上マーケットではなく、そこで暮らす人たちに必要とされているマーケットなので、タイ伝統の生活様式を見ることができます。また、午後から夜までオープンしているので、ゆっくり過ごすことができます。
さらに、夜間のホタル観賞クルージングでは、ランプの木に点滅するホタルの光はとても綺麗で幻想的です。このように魅力たっぷりのアンパワー水上マーケットで、タイ旅行を満喫してください。