タイに住み始めていつの間にか12年経ってしまいました。時の長さを感じないのは、タイが居心地がいいからなのでしょう。結論を先に言うと、タイに暮らすことはオススメです。
ただし、観光で来ることと実際にタイで生活することは違います。「観光で来たタイは最高だった!」の延長で暮らし始めると、そのギャップに悩まされるかもしれません。
そこで、タイに暮らしてみて分かった良かった点と大変だった点をまとめてみました。
タイ移住のメリット
生活スタイルを選ぶことができる
何度もタイを旅行した後、タイに移住しようと決めた1番の理由が自分の好きな生活スタイルが選べるということです。日本では、経済的に余裕がないと高級マンションや素敵な一軒家に住むことはなかなかできません。
またどんなに質素な暮らしをしても、物価が高いため、それなりにお金がかかって生活費が収入のほとんどを占めてしまいます。タイでは日本の一般的な初任給ぐらいの収入があれば、プールやフィットネス付きのコンドミニアムや庭付きの大きな一軒家に住むことができます。
また、もっと節約してシンプルな生活を送りたいならば、1か月3万円くらいで暮らすこともできます。
生活費以外に自己投資をしたり趣味にお金を使ったりしたい人、また経済的にあまり余裕がない人も自分で生活スタイルを選べるところが大きな魅力です。
生活(言語)環境を選ぶことができる
タイには日本人をはじめ、外国人がたくさん住んでいます。一歩街へ出ればいろんな国の言葉が飛び交っています。タイには来たけれど、日本食が毎日食べたい、日本語で暮らしたいと思う人もいるでしょう。
首都バンコクやチェンマイなどの大きな地方都市ならば、日本食スーパーや日本のレストランのチェーン店もたくさんあります。病院や学校、美容院などあらゆる施設には日本人がいて、日本と同じようなサービスを日本語で受けることができます。
まるで日本にいるような生活ができます。反対に、タイらしい生活が送りたい人は、タイ人はとてもフレンドリーで親日家なので、気さくに話しかけていけばどんどんタイ人とのつながりが増えて、ローカルな体験がたくさんできます。
またインターナショナルな環境に身を置きたい人は、前述したとおり、いろんな国の人がタイに住んでいるので、そういう人たちが集まるコミュニティに参加してもいいし、街で顔を合わせることも多いので直接声をかけてインターナショナルな輪を広げていくこともできます。
タイ料理が美味しい
海外生活が長くなれば長くなるほど、食事が大事になります。私はイタリアンもフレンチもメキシカンも大好きなのですが、毎日食べ続けると苦痛に変わります。時々食べるからおいしいのです。
やはり日本人のソウルフードである米や醤油や味噌が恋しくなってしまいます。タイ料理は日本でも人気があるように、日本人の口によく合います。米や醤油や味噌を使った料理も多いです。
タイ料理は辛いイメージもありますが、辛くないものもたくさんあります。またパクチー嫌いの人はタイ料理を敬遠しがちですが、そこは心配ありません。
パクチーはあくまでも料理の上に乗せるトッピングで、パクチーごと焼いたり煮込んだりはしません。タイ人にもパクチーが苦手な人は多く、よけて食べたり、最初に「パクチー抜きで」と注文する人もたくさんいます。
日本人に馴染みやすいタイ料理ですが、時には日本食も食べたくなります。タイは日本食大ブームで、どんな小さな地方都市でも、日本食レストランを何件か見つけることができます。
スーパーに行けば必ず日本の食材のコーナーもあります。セブンイレブンなどのコンビニにでも日本食は売っています。
日本食がなくて困ることはまずないでしょう。また、タイにはおいしい果物がたくさんあって、値段もどれもとても安いです。
マンゴーやパパイヤ、マンゴスティンなどどれも1キロ100円くらいです。一軒家に住む人はだいたい庭に果物の木があってもぎたてを楽しめますし、ご近所さんからもらうこともしばしばあります。
タイ人は子ども好き
タイ人は子どもにやさしいです。子どもが少々騒いでいても、走り回っていても、ニコニコ温かい目で見てくれるだけでなく、一緒に遊んでくれたり、時にはお菓子までくれたりもします。
息子がまだ小さい時にレストランに行くと、店の人が食事中、息子と遊んでくれたり、買い物に行く時も近所の人が見ていてくれたりしました。子どもだけではなく、小さい子どもを持つ親にもやさしい国だと思います。
タイ移住のデメリット
虫の天国
まずはアリ。暑い国なのでしょうがないのですが、アリには本当に困っています。ジュース1滴でもこぼせばアリが列をなしてやってきます。
封を切っていないお菓子やインスタントラーメンにも容赦なく穴を開けます。冷蔵の必要がないお米や調味料も、全部冷蔵庫で保管しなくてはなりません。おかげで冷蔵庫はいつもパンパンです。
アリの種類も大小様々、赤いのも黒いのもいます。噛まれたら赤く腫れて3日間くらいかゆみがとれません。次に蚊。
朝夕は特に注意です。オープンカフェや川沿いのレストランでは気をつけましょう。油断すると何十箇所も刺されるときがあります。蚊もまた大小様々、さらに形も様々なのです。
どう見ても蚊には見えないのに、パチンとするとしっかり血を吸われています。虫除け対策必須です。そして、厄介なのが毛虫の毛。毎年5月頃は毛虫の季節。抜けた毛虫の毛が、風に飛ばされて干していた洗濯物に付着することがあります。
知らずに着るとひどければ全身に蕁麻疹ができて、猛烈な痒みに襲われます。私も3回刺されました。完治するまで1週間かかります。
それもあってタイ人は洗濯物全てにアイロンをかけているのかもしれません。
「マイペンライ」の裏の顔
タイに来ると「マイペンライ」という言葉をよく耳にします。「問題ない」という意味です。タイ人は面と向かって人に文句を言ったり、声を荒げたりすることがあまりありません。
たいてい「マイペンライ」で済ませてしまいます。しかし、時にこの「マイペンライ」をそのまま受け取ってしまうと大変なことになります。面と向かって文句を言わなくも、文句がないということではありません。
私はなるべく本人に直接言いたい、言われたい性格なので受け入れるのに時間がかかりました。いわゆる本音と建前が日本よりも激しい気がします。
本音なのか建前なのか、12年経った今でも見極めが難しく、人間関係に苦労することもあります。
コロコロ変わる外国人に対する法律
1年に1度就労ビザと労働許可証を更新していますが、毎年変わる更新条件にいつも振り回されます。条件が変わったことは知らされません。必要書類を全て揃えて、「さあ、手続きを始めよう」と窓口に提出した時に初めて言われます。
「新しくこの書類が増えました」、「書類形式が変わりました」、「日本人は英語の先生ができません」など毎年何か条件が変わります。その度に書類を作り直し、関係機関に出向き、承認や署名をもらって再提出です。
1ヶ月くらい前から準備を始めても、いつもビザ有効期限ギリギリでやっと更新です。
ビザ更新だけでなく、住居の賃貸契約書の提出が必須になったり、再入国後にイミグレーションに届け出が必要になったりなど外国人に対する法律全般も変わりやすいので、時々新しい情報をチェックしないといけません。
まとめ
大変だった点もいろいろありますが、生活をし始めると慣れとともに、どう対処していったらいいのか自然と分かるようになると思います。
自分の好きな生活スタイルや環境を選んで自分のオリジナルなライフスタイルを築けるということは、ある意味最高の贅沢ではないでしょうか。