日本人が外国に入国する際にはビザが必要で、取得すれば決められた期間滞在ができます。さらに、短期間の滞在はビザが免除される国があります。日本国籍者はビザを免除する国が多く、タイもその国のひとつです。
しかし、ビザが免除されても入国するにはイミグレーションで入国を許可してもらわなければなりません。ここでは、バンコク旅行を考えている方にタイの入国に関する情報と注意点を詳しく解説します。
タイの入国制限
タイの入国制限はたびたび変更されますが、発表から実施までの期間が短い場合が多く、旅行を予約した後に変更されることもあります。また、正式決定されてない情報を政府が発表して変更されないこともあります。ここでは、タイの入国制限について正しい情報の取得方法を紹介します。
タイの入国情報はタイの官報をチェック
タイ入国の情報は、インターネットでよく紹介されていますが、タイ政府は決定してない段階で発表することがあります。今回、日本を含む93ヵ国・地域からの入国者のビザなしで滞在できる期間が30日から60日に延長されると、5月末に発表して6月から実施するという誤った情報がインターネット上で見られました。
ところが6月になっても日本国籍者がタイにビザなしでの滞在できる期間は30日のままで、タイ政府は、2024年7月15日から滞在期間を60日に延長すると発表しました。このように、タイ政府は正式決定前に発表してその日なっても実施されてないことがよくあります。
今回の誤報は、個人の方がまだ決定していない情報を見つけてインターネットなどに投稿したことが原因です。正式な情報はタイ政府が正式に発表する官報をチェックしましょう。
タイのビザの申請
ビザの申請は国外のタイ大使館および国内のイミグレーションです。ビザの種類によって申請場所が異なるので、旅行前にしっかり覚えましょう。ここでは、ビザの種類と、申請方法について解説します。
タイ査証の種類
日本国籍者のタイでの滞在は、60日以内(59泊60日)ならビザは不要です。また、一度タイを出国して再入国した場合には、再度60日までビザなしで滞在することができます。一方、長期間滞在や就労するには、就労ビザや教育ビザ、リタイアメントビザなど滞在目的に合うビザを取得しなければなりません。
ここでは、これらのビザの中でも観光目的にタイへ入国した際に必要なビザの種類と申請方法について解説します。
観光ビザ
これまでは30日を超える観光目的で滞在する場合に必要なのが観光ビザで、最大60日間の滞在ができます。入国前に外国のタイ大使館で申請します。日本での申請場所は在東京タイ大使館や大阪、福岡などのタイ領事館などです。
申請に必要な書類等
- ビザの有効期限:発行から3ヵ月
- 必要書類:タイ入国する航空券・残存期間6カ月以上で余白が2ページ以上のパスポート・3ヵ月以内に撮影された証明カラーの写真1部・申請書
- 申請料:5,500円(現金のみ)
※2024年7月15日以降日本国籍者のビザなし滞在期限は60日に延長されました。この延長により観光ビザの滞在期限と同じになりますが、タイ政府から観光ビザの扱いについての発表はまだありません。
滞在延長
ビザなしでタイ入国後に60日以上滞在する場合には、期間を延長することができます。最大延長期間は30日で、1回の入国につき1回の滞在延長が可能です。観光ビザで入国した際も滞在延長の申請が可能です。
申請方法
申請に必要な書類等:、申請書、パスポート原本、証明写真1枚(6×4㎝)、パスポートの氏名と写真のあるページと入国スタンプが押されたページのコピー各1部、ビザがある場合はそのページ(すべてのコピーにサイン)
申請料:1,900バーツ(約8,550円)
※写真やコピーは申請場所で入手できます。書類には滞在先を記入するのでホテルの名刺などを持参しましょう。
- 申請場所:ITスクエア ラックシ―3階のイミグレーションオフィス
- 住所:333 Kamphaeng Phet 6 Rd,Talat Bang Khen, Lak Si, Bangkok
- 最寄り駅:SRTダークレッドライン ラクシ―駅下車すぐ
ビザ取得の注意(ビザランは気をつけよう)
タイで就労や長期滞在をする場合には就労ビザと労働許可(ワークパーミット)の取得が必要ですが、これらを取得せずに観光ビザと滞在延長を繰り返して就労や長期滞在するビザランが横行していました。
就労ビザとワークパーミットを取得せずに就労するのは違法行為で、就労はしていないものの長期滞在する外国人が増えすぎたため、現在は長期滞在のビザを保持せず陸路で近隣諸国への出入国の回数を制限しています。
観光で長期滞在して、ラオスやカンボジアなどへ陸路で出入国を繰り返すとビザランと疑われる恐れがありますので注意しましょう。
タイにおける日本国籍の方の無査証滞在
タイのビザなしでの滞在期間は国ごとにより異なり、韓国国籍者は最大90日の滞在が認められています。一方、日本国籍者がビザなしでタイに滞在できる期間はこれまで最大30日でしたが、2024年7月15日以降最大60日に延長されました。この措置は、日本を含む93の国・地域に適用されています。
商用目的での入国に対する一時的査証免除(2024年1月1日~2026年12月31日)
タイ政府は、タイにおけるビジネスや投資を促進する経済政策の一環として、商用目的でタイに入国して、30日以内の滞在をする日本国籍者は2024年1月1日から2026年12月31日までの期間は短期商用ビザの取得が免除されていました。商用ビザの免除はタイ側の会社からの招聘状や商談予約書等商用目的を示す書類をタイイミグレーションの担当官に提示して許可された場合に限られています。
2024年7月15日からのビザなし滞在期間の延長には、観光、ビジネスパーソン、短期就労者などが含まれています。しかし、今後商用目的での入国に対する一時的査証免除の扱いについての発表はタイ政府からはありません。
タイ入国に必要な書類
タイ入国は、滞在目的や期間によって必要な書類が異なります。ここでは、タイ入国に関して必要な書類を解説します。
査証
ビザはタイイミグレーションが入国を許可した証明で、許可した期間の滞在が認められます。おもなタイのビザとしては、短期滞在の観光ビザ以外に長期滞在者向けの就労、教育、リタイアメント等があります。
タイのビザを取得した後の注意としては、どのビザもビザを取得後に入国して出国すると無効になるので、ビザを有効のままにするには出国前にリエントリーパーミット(再入国許可)を取得しなければなりません。リエントリーパーミットはタイ国内のイミグレーションオフィスや出国する空港のイミグレーションオフィスで申請できます。
空港のイミグレーションオフィスは、出国審査をするパスポートコントロールを通過した制限エリアにあります。
バンコクイミグレーションオフィス住所: Chang wattana 13, Thung Song Hong, Lak Si, Bangkok
リエントリーパーミットの申請:申請料1,000バーツ(約4,500円)、写真(タテ6㎝×ヨコ4㎝)の写真1枚、申請書(イミグレーションで取得)、パスポートの氏名と写真、入国スタンプ、ビザ(取得した場合)のページのコピー各1部(すべてのコピーにサイン)
パスポートの残存有効期間
観光目的でタイに入国する場合に60日以内の滞在であれば、日本国籍者はビザなしで入国ができます。入国の際には、国際規定によりパスポートの残存期間は6ヵ月以上と定められています。
パスポートの残存期間が満たない場合はタイに入国できないので、タイ旅行が決まったらパスポートの残存期間を確認して、満たない場合は新しいパスポートを取得しましょう。
入国の流れ
タイ入国は近隣諸国からの陸路以外では飛行機になります。バンコクにはスワンナプーム国際空港とドンムアン国際空港の2つの空港がありますが、日本から到着する便はスワンナプーム国際空港です。ここでは、入国に関する必要な手続きから、バンコクに移動するまでの流れを紹介するので、スムーズに入国できるよう事前に把握しましょう。
到着後はイミグレで入国審査
日本からの到着便はメインターミナルに直接到着、タラップを降りてバスでメインターミナルに向かう、サテライトターミナルに到着後に新交通システムのAPMに乗りメインターミナルに向かう3つの方法になります。メインターミナルでは案内板に従って入国審査場に向かいます。入国審査場はタイ人と外国人に分かれているので、外国人用のカウンターで入国審査を受けます。
入国審査終了後は荷物の受け取り
入国審査が終わったら手荷物受取場に移動して預けた荷物を受け取ります。荷物が出てくるレーンの番号は、案内板に便名が表示されているのでそのレーンに進んで、自分の荷物が出てきたら受け取ります。荷物を受け取る際には自分の物なのかを確認しましょう。荷物を預けていない方は、そのまま税関に進みます。
税関申告
タイ入国の際には日本のような税関申告書はありません。税関に申告するものがない場合には緑色の看板の「Nothing to declare」を進んで出口に向かいます。
関税がかかるのかが分からない場合は赤色の「Goods to declare」付近にいる税関係員に直接尋ねましょう。
税関を通過し到着ロビーへ
税関を通過したら入国手続きはすべて完了です。税関を出たところがメインターミナルの2階の到着ロビーです。この階にはSimカード販売店や両替所等があります。ここでは、タイの通貨バーツへの両替と、Simフリーの携帯電話をお持ちの方はSimカードを購入できます。
両替のレートはお店によって異なり、この階の両替所はレートが良くないので、地下1階のエアポートレールリンク改札前のオレンジ色の「スーパーリッチ」、緑色の「カシコン銀行」、青色の「HAPPY RICH」等最もレートが良い両替所でタイバーツに両替しましょう。両替が済んだらSimカードを購入です。 Simカードは入れ替えるだけで使えるので、滞在日数に合うカードを選びましょう。
空港から市内へ移動
空港での用事を終えたらバンコクへ移動です。空港からバンコク中心部へはいろいろなアクセス方法があります。ここでは、おもなアクセス方法を紹介します。
エアポートレールリンク
荷物が多くない方なら空港から渋滞を気にせず、低価格でバンコク中心部にアクセスできる方法です。空港駅は地下1階にあり、MRT(地下鉄)のペチャブリー駅に接続するマッカサン駅までは約25分で料金は35バーツ(約157円)、BTS(高架鉄道)が接続する終点のパヤタイ駅までは約30分で料金は45バーツ(約202円)です。
営業時間は午前5時30分から午後12時まで10〜15分間隔で運行しています。
メータータクシー
空港からバンコクへ最も多く使用されるアクセス方法です。乗車方法は1階の専用乗り場で係員に行先を告げて乗車券をもらいます。乗車券には駐車場の番号が印字されているので、停車しているタクシーに乗り込みます。乗車券をドライバーに渡して行き先(ホテル名など)を告げます。
料金はメーターに表示されますが、空港使用料50バーツ(約225円)と高速代が別途必要です。料金はバンコク中心部まで300〜350バーツ(約1,350〜1,575円)ほどです。
配車アプリ
タイでは、配車アプリのGrabとBoltが使用できます。利用するにはアプリをダウンロードしてカード支払いに設定すれば、現金で払う必要がなくぼったくりに遭う危険もありません。
Grabは1階4番出口を出たタクシー乗車場にGrab専用の乗り場があります。Boltは専用乗り場がないため、2階の到着フロアや4階の出発フロアなどドライバーと乗車場所の確認が必要です。簡単に乗るにはGrabがおすすめです。
料金はバンコク中心部まで350〜400(約1,575〜1,800円)です。
AOTリムジンタクシー
バンコクが初めての方におすすめなのがAOTリムジンタクシーです。料金はあらかじめ行先によって決まっていますのでぼったくりに遭う危険がなく、直接ホテルまで高級車でゆったり移動ができます。料金はメータータクシーの3倍ほどですが、安全性と快適さを重視する方におすすめです。
AOTの専用カウンターは荷物を受け取った後、税関審査に向かうところにあるので申し込みと支払ができます。料金はバンコク中心部まで1,050バーツ(約4,725円)からです。
タイ入国で安心の情報
タイは治安の良い国と言われていますが、治安のレベルは世界の国の中では良いと言う事で、日本と比べて良いと言う事ではありません。また、バンコクは世界各国から旅行者が訪れるためそれぞれの外国人との接触が心配です。 そのため、タイに行く前に安心して入国できる情報を取得しておきましょう。
海外安全情報「たびレジ」の登録(推奨)
バンコクでは外国人旅行者を狙ったひったくりなどの被害も報告されています。また、タイではバンコクを中心に頻繁にデモが行われており、デモの大きさによっては外出禁止令が発令されることがあります。これらの情報を発信しているのが外務省の「たびレジ」です。
たびレジは「旅先の安全情報」、「旅行中の最新情報」、「現地で事件・事故に巻き込まれた時の素早い支援」が受信できる無料配信サービスです。タイへの渡航が決まったら最新の情報が受信できる「たびレジ」に登録しましょう。
海外旅行保険加入(推奨)
タイへ旅行中に発生した病気やケガ、盗難や損害などを補償する保険です。タイの医療制度は日本と異なり、同じ治療をしても費用は病院ごとに異なります。特に、日本語の通訳が常駐する私立病院の医療費は高額です。さらに、荷物の盗難や破損があった時には保険会社の海外旅行保険に加入しておけば補償をしてくれるので安心です。
また、旅行保険が付帯されているクレジットカードもあります。補償金額は保険会社よりも少ないですが、無料で利用できます。利用条件や補償金額はクレジットカードによって異なるので事前にチェックしましょう。
クレジットカードの保険を利用する際の注意点は、多くのクレジットカードは利用期限が出国後90日までと定められています。そのため日本の出国日が分かるようにパスポートにスタンプを押してもらいましょう。
帰国時の注意
日本に着いても税関審査を終えるまでは安心できません。ここでトラブルがあると楽しかった旅行が台無しになります。そのようなことにならないように帰国時の注意点を紹介します。
「Visit Japan Web(日本入国手続きオンラインサービス)」の登録(推奨)
楽しいタイ旅行が終わり、日本に到着したらスムーズな入国手続きをしたいものです。
これまでは帰国の際には黄色い用紙の税関申告の情報を手書きで書いていましたが、オンラインで事前に登録できるようになりました。このアプリは、事前に登録しておけば何回でも利用できます。
Visit Japan Web | デジタル庁 ウェブサービス・アプリケーション (digital.go.jp)
日本に持ち込めないお土産を事前にチェック
タイ旅行で見つけた珍しいお土産でも日本に持ち込めないものがあります。代表的なタイのお土産で日本に持ち込めないのは、生のフルーツや肉類、コピー品などです。さらに、タイは大麻の販売が解禁されて至る所に大麻ショップがあるので簡単に購入できます。日本で大麻を所持していると重罪になるので、タイでは決して大麻を購入しないようにしましょう。
まとめ
タイへの入国の流れを紹介しました。タイは、短期滞在ならビザが不要で入国審査も簡単です。さらに、スワンナプーム国際空港からバンコク中心部までは、鉄道やタクシーなど金額や手間などを考慮して選べます。
これから、タイ旅行を考えている方はこの記事を参考にスムーズな入国をしてバンコク旅行を楽しんでください。