タイ人のお家に招待されると庭の片隅に必ず小さな家の模型のようなものを見つけます。これはその人の家を守ってくれる祠(ほこら)です。
まだ小さかった息子はおもちゃのお家だと思い込んだようで、しきりに中をのぞこうとして家の人に止められていました。祠は土地の神様を祀る神聖なものなので安易に触れてはいけません。家の人は毎日祠に線香、ろうそく、お花を供え手を合わせています。
今回はタイのあちこちで目にする小さな祠、バーン・ピーについてまとめました。
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タイのピー信仰概要

タイのピー信仰とは
ピー信仰とはタイ人が信仰するアニミズム(精霊信仰)のことです。タイといえば、熱心な仏教国というイメージですが、実際は仏教に、バラモン教(古代ヒンドゥー教)、ピー信仰が絡み合っているそうです。
ピー信仰はタイに仏教やバラモン教が伝来する前からタイ族全般が信仰していたとされる宗教形態です。現在でも仏教やバラモン教などの外来宗教の影響を受けながらも、タイ人の基礎の信仰として根強く残っています。
タイ人が小さな祠を建てるわけ

タイ人はお店、工場、学校、職場などどこの土地にも、必ず神様がいると信じています。そのため家をはじめ何か建物を建てる場合は、その土地に古代から住み着いている精霊に迷惑をかけることになるので、その精霊が怒らないように、また守護していただくように祠を建てます。
そして建築物が完成した時に僧侶を招いてお経を唱えてもらうのが一般的です。この儀式は必ず9名のお坊さんによって執り行われます。「9」というのは仏教ではラッキーナンバーなのだそうです。
タイ人は祠を建てる場所を慎重に選んでいる

祠は敷地内の隅に建てられているものだと思っていましたが、実は慎重に場所を選んで建てています。昼間の太陽の光でできる建物の陰は祠に当たってはいけないし、逆に祠の陰が建物に当たってもいけません。陰が当たってしまうと幸せにならないと信じられています。
また祠の向きも諸説あり、家主の職業によって変えたり、北向きが縁起がいいとされたり、建物の玄関に向けたり、いろいろ考えて設置されるそうです。
タイ人が祠に供えるもの

陶器の人形
祠には陶器でできた人形が供えられています。老夫婦、その2人に仕える男女、馬、ゾウ、踊り子の人形があり、祠に住んでもらって、家を守ってくれます。また両脇には花を供える小さな花瓶があり、1番前の中央には線香鉢とロウソク台があります。
お供え物はファンタ?
私が驚いたのは、花や線香と一緒に炭酸飲料の赤いファンタが供えてあることでした。お供え物はさまざまな食べ物や果物などなんでもOKなのですが、必ず「ナムデーン」という赤いシロップの入った水も添えます。
これは昔お供え物として血を使用していたので、代わりに赤い水を供えているのだそうです。ナムデーンの代わりに赤いファンタを置く人も多いのです。
祠の神様がファンタを飲んでいるところを想像するとなんだか、かわいいですね。
タイで家を引っ越すときに気を付けること

もし家を引っ越すことになったら祠はどうしたらいいのでしょうか。祠に宿る神様はそこに住む住人であって、家を追い出されるようなことがあってはならないと考えるため、そのまま残しておくことが多いそうです。
そこに引っ越してきた新しい家主は古い祠の隣に新しい祠を建てるか、撤去したい場合は最初に建てたときと同じように僧侶を呼んで撤去の儀式をしなければなりません。儀式を怠ると家主が災難に見舞われるそうです。撤去された祠は祠専用のお墓に移され、そこで自然に朽ち果てます。
タイの祠、基本的には持ち出し禁止

祠は本当の家のミニチュアのように精巧に作られていて、装飾もとても美しいので買って帰りたいという海外からの観光客もよくいます。
プロサッカー選手のデイビッド・ベッカムもタイに来たときに祠をたいそう気に入って6つも買って帰りました。新しい家を建てるので祠を庭に置きたいと思ったようです。
宗教的な理由、教育に使う、またはタイ文化を伝えるという理由以外では基本的に持ち出し禁止になっています。家に飾りたいと思ってお土産として購入したりすると、もしかしたら空港で没収になるかもしれません。
まとめ〜他者が大事していることをリスペクトする姿勢
タイ人はとても信心深く、他人の家に招かれたときは祠にワーイ(手を合わせて拝むこと)をしてから家に入る人が多いです。家以外でも、街中にある祠や廟にお供えする人もいますし、バイクや車で目の前を通り過ぎるときにも素早くワーイをする人もたくさんいます。
私自身はあまり信心深くないので、家にも祠はおいていませんし、ワーイもしません。でも時々観光客が興味半分で祠を開けたり、落書きをしたりする人がいるというニュースを聞くと本当に嫌な気持ちになります。タイ人が信じて大切にしているものは尊重して大事に扱いたいと思います。