タイでは幼稚園から大学まで、公立または私立を問わず、制服があります。しかし毎日同じ制服を着るわけではなく、いつくか種類があり、体育のある日は体操服を着て登校します。学校で着替える習慣があまりないようです。
学生だけではなく、医者や看護師、銀行員、スーパーやコンビニの店員など仕事の制服も家から着用して職場に向かう人もいます。日本だと「衛生的な問題が……」となりそうですが、タイではあまり気にしないようです。
タイの学生はほぼ毎日違う制服で学校に通っているので「よく間違えないなぁ」と感心します。ここでは何種類もあるタイの学生の制服事情について書きたいと思います。
タイの学生、何種類もある制服
タイの学生の制服は3~4種類あります。ここでは私が住んでいる北タイの学校の制服、北タイの小中学生の制服は4種類、を例にとって紹介します。
まずは、いわゆる学生服
女の子はだいたい白いシャツに膝丈の紺か黒のスカート、男の子は白いシャツに、紺・黒・カーキの半ズボンです。男の子は高校3年生まで半ズボンなので、「かっこ悪くていやだ!」と思っている子たちもいます。
2つ目は体操着
家から着用して登校します。体育の教科は週に1回しかありません。どの日に当たるかはクラスごとで違うので、日によってあるクラスは体操服、他のクラスは学生服というときもあります。
3つ目はボーイ/ガールスカウトの制服
小学1年生から中学3年生まで週に一度、スカウトの時間があります。内容は技術家庭科と体育の2教科を合わせたようなものです。タイの学校には「技術家庭科」という独立した教科がありません。
4つ目は民族衣装
これは北タイの学校だけのようです。北タイの学校では、毎週金曜日は必ず民族衣装を着用しなくてはいけません。民族衣装も学校によって色やデザインが違います。
襟や裾にカラフルな織物をあしらった伝統衣装はとてもタイらしくて素敵ですが、着ている本人たちは、通気性が悪くて暑くてたまらないそうです。見た目はとっても涼しそうなんですけどね。
高校生になるとスカウトがなくなるので制服は3種類になりますが、兵役の一端である軍事教科を選択する男子生徒は迷彩服が加わります。
タイの学校には制服が4種類!間違えたらどうする?
4種類も制服があったらほぼ毎日違う制服を着ることになります。着間違えたりすることはないのかと思い、タイ人の学生に聞いてみました。するとみんな制服を間違えて学校へ行ったことがあるそうです。間違った制服を着ていくとペナルティがつく学校もありました。
制服間違いはペナルティの対象になることも
タイの学校では生徒が学年の初めに100点を持ち点としてもらいます。宿題や課題を出さなかったり、悪いことをしたら点数がマイナスされていきます。50点を切ると進級が危ぶまれたり、お寺で瞑想させられたりするそうです。
制服を着間違えると持ち点から5点引かれる学校もあります。制服を着間違えた生徒は一生懸命学校のトイレ掃除や草むしりなどをして、マイナス5点を帳消しにしてもらうそうです。
タイの学校には制服が4種類!冬も夏服
タイの学校は制服は何種類もありますが、基本的に一年中暑いので、季節ごとに制服が変わることはありません。バンコクやタイ南部はいいのですが、北タイには寒い冬があります。
冬のある北タイの学生には夏用制服は少々酷かも……
生徒たちは朝6時半~7時くらいの一番寒い時に登校します。それもほとんどの生徒がバイクで通学するので、風が相当冷たいはずです。温度が7〜8℃になることもあり、半ズボンの男子生徒はさぞ寒いことでしょう。
上着着用は自由なようですが、下に着こんだり、長ズボンを履いたりするには先生の許可がいるそうです。
次の日寒くなりそうだったら「明日は制服の下に服を着てよし!」と先生が言います。でも滅多にないようで、去年(2017年)は一度も言われなかったそうです。日中は暖かいので夏服でも大丈夫ですが、朝の登校は寒さとの戦いのようです。
タイの学校、髪形にも決まりがある
タイの学校では正しい制服を着ることも大切ですが、髪形の決まりもいろいろあります。
女の子は肩につかないおかっぱかひとつ結び
後ろから見ると「ちびまる子ちゃん」がいっぱいいます。ひとつ結びをする女子生徒は必ずスクールカラーのリボンをつけなくてはいけません。忘れると点がマイナスされます。ふたつ結びや三つ編みが禁止されている学校もあります。
男の子は基本坊主
男の子は中学生までは髪が指でつまめないくらいの長さ(ほとんど坊主)でなければいけません。
高校になると若干ゆるくなりますが、軍事教科を選択する生徒たちは兵隊スタイル(てっぺんがやや長いが、ほぼ坊主)が絶対です。規則より髪が長い場合は、点数を引かれるだけじゃなく、バリカンで刈られます。
タイは大学にも制服あり!大学生の制服はピッチピチ
タイには大学生も制服があります。そしてなぜか女子大生はみんな体にぴったりひっつくほどピッチピチのシャツとピッチピチのミニタイトスカートを履きます。
男の子たちも結構ぴったりとした制服を着ていますが、女の子は「3S」「5S」など、小学校の低学年が着るサイズを好んで着用しています。お腹にクッと力を入れたら、パーンとボタンが弾け飛んでしまいそうなほどパッツンパッツンです。
女の子たちはこぞって自分を「セクシー」に見せたいと思っています。保守的なタイなのに女子大生だけは随分開放的です。中高の校則が厳しかった反動もあるのかもしれませんね。
まとめ〜これだけ種類があれば制服も楽しい!
タイは幼稚園から大学を卒業するまで制服があります。でも、日本の学生よりもバリエーションがあって、しかも民族衣装着用とは、お国の文化を大切にする意味では素敵だと思います。日本の学生たちが着物を着用して登校するようなものですものね。
制服が日替わりだと知ったとき、めんどくさそうだなあと思っていましたが、学生にとってはそれもファッションのひとつで、毎日気分が変わっていいのかもしれません。「制服のほうがかっこいい」、「毎日服を選ばなくていい」と制服に対して肯定的な意見が多いです。