ワットアルンはタイ、バンコクを代表する観光スポットです。
神々しいまでに印象的な白い塔と、赤い夕陽に照らされた風景、さらに夜のライトアップされた姿がチャオプラヤ川に移った風景など、絶景スポットとしても人気が高いです。
バンコクを旅行するならぜひ訪れてもらいたい場所ですが、訪問する際には少し気を付けたいこともあります。
今回は、ワットアルンの魅力と行き方、観光の際の注意点などを一気に紹介します。
ワットアルンについて
ワットアルンの正式名称は「ワット・アルンラーチャワラーラーム」といいます。
「ワット」は寺院、「アルン」は「暁」という意味になります。
三島由紀夫がその小説の題材として扱ったこともあるこの寺院は、チャオプラヤ川のほとりに建っています。
ちなみに、タイの通貨、10バーツコインにも描かれています。
それくらいタイを代表する寺院なのです。
「ワット・プラケーオ」「ワット・ポー」とあわせてタイの三大寺院としてもよく知られています。
ワットアルンの歴史
ワットアルンがいつ建てられたのかについては、はっきりしたことは分かっていません。
しかし、アユタヤ王朝の地図に記載が認められることから、この時代に存在していたことは証明されています。
しかし、当時は「ワットアルン」という名前ではなく、「ワット・マコーク」と呼ばれていました。
他の寺院と比較しても特別なものではなく、ごく一般的な寺院として認識されていたようです。
そののち、1779年にタクシン王によってトンブリー朝が開かれますが、そこではじめて第一級王室寺院に認定され、タクシン王の菩提寺となったのです。
寺院の名前は数回変更されており、よく知られている名前では「ワット・チェーン」と呼ばれていた時期があります。
「チェーン」はタイ語で「夜明け」を意味する言葉ですが、タクシン王がこの場所にやってきた時刻が夜明けの時間帯だったため、この名前が付いたといわれています。
タクシン王は、ラオスとの戦いにおいて、エメラルドの仏像を戦利品として持ち帰りました。
ところが、1782年にバンコク王朝が興ったのち、エメラルド仏像はワット・プラケーオに移されることになります。
ワット・チェーン寺院の名前が現在の「ワットアルン」になったのは、チャクリー王朝のラーマ2世の時代だとされています。
ヒンドゥー教には暁の神様として「アルーナ」と呼ばれる神がいますが、これにちなんで名づけられたともいわれています。
ワットアルンはラーマ2世によって保護され、ラーマ3世の時代になって仏塔が再建されました。
現存する大仏塔はこのときに建て直されたものです。
ワットアルン観光の見どころ
ワットアルンで最も印象的なのは、白い5つの塔です。
でも、この寺院の魅力はそれだけではありません。
ワットアルンの見どころを紹介しておきます。
大仏塔(プラプラーン)
ワットアルンの一番の見どころとなっている、印象的な5つの白い仏塔があります。
中央にある塔は75mの高さがあり、その台座のサイズは周囲234mですから、かなり規模が大きいです。
その周りを囲うように小さめの塔が4つ置かれています。
遠目には白さが印象的な塔ですが、近寄ってみると多彩な色を使ったモザイクスタイルで彩られているのがわかります。
中央の大仏塔は3層構造になっていて、下から鬼、サル、天使の彫像で装飾されています。
さらに仏塔の上にはヒンドゥー教の神々が据えられています。
仏塔は途中まで上ることができます。
上からはチャオプラヤ川の眺望を楽しむことができますが、階段はかなり急ですので、歩きやすい靴で臨みましょう。
夜になると美しくライトアップされる塔の姿もすばらしいです。
小本堂と小礼拝堂
大仏塔の向かい側にあるのが、小本堂と小礼拝堂です。
これら2つの建造物の歴史は、アユタヤ時代までさかのぼることができます。
その後、ラーマ2世によって別の本堂と礼拝堂が造られたため、こちらの2つは「小本堂」「小礼拝堂」というふうに区別して呼ばれるようになりました。
小本堂にはご本尊が祀られています。
仏塔に比べて小本堂が小さすぎるように見えるかもしれません。
この仏塔は後から再建されたため、現在は小本堂が小さく感じられます。
ところで、タクシン王は晩年、出家しましたが、この本堂に住んでいた時期がありました。
そのため、このお堂にはタクシン王の銅像が置かれています。
小礼拝堂には四天王像に囲まれた塔があります。
ラオスから持ち帰られたエメラルド仏像は、ワット・プラケーオに移転されるまでここに置かれていたといわれており、現在はそのレプリカが安置されています。
本堂と礼拝堂
寺院の敷地内に入ってすぐ右手にある門をくぐった先にあります。
この門には白と緑に彩られた巨大な鬼の像が置かれていますが、これはタイ古典「ラーマキエン物語」に出てくる鬼です。
その先にある、120体の仏像が置かれた回廊の中央に本堂があり、その奥に礼拝堂があります。
ラーマ2世によって建てられた比較的新しい建物です。
本堂にはご本尊とラーマ2世の遺骨が安置されています。
ワットアルンを訪問する旅行者は、大仏塔に気を取られがちですが、この本堂と礼拝堂も見ごたえがあるので、ぜひ立ち寄ってもらいたいです。
ワットアルン観光のポイント
ワットアルン仏塔の入口は東を向いているため、正面の写真を撮るのは午前中がきれいです。
午後に訪れる場合も、西側に行ってそこから撮影すれば逆光にならず、よい写真が撮れます。
大仏塔を全体像としてとらえるには、チャオプラヤ川をはさんで対岸から見るのがおすすめです。
また、ワットポー周辺にある沿岸レストランやカフェからもワットアルンがよく見えます。
食事や飲み物を楽しみながら、絶景撮影スポットを探すのも楽しいですよ。
「暁の寺」といわれるだけあって、オレンジ色の夕陽に染まった空を背景にした仏塔の姿は絶景です。
夕方になるとその姿を一目見ようとたくさんの人が対岸のレストランに集まってきます。
非常に混雑するので、ゆっくり楽しみたいときは予約しておくのがおすすめです。
ワットアルンは夜ライトアップされた姿も美しいので、見逃さないでくださいね。
ライトに照らされて塔表面の装飾が神々しく輝く姿はため息が出るほどです。
チャオプラヤ川に映る姿も美しいので、あわせてフレームにおさめましょう。
ワットアルンへの行き方
ワットアルンへの行き方はいろいろあります。
最寄り駅から徒歩、タクシー、水上交通などを利用する方法です。
それぞれ説明しておきます。
最寄駅から歩く、あるいはタクシーで行く方法
2019年に新しくできたMRT(地下鉄)イサラパープ駅からは、徒歩10分程度です。
あるいは、安いゲストハウスが建ち並ぶカオサンロードからも、歩いて行ける距離です。
ただし、タイの日差しは非常に強いので、日焼け対策をしっかり行ってから出かけてください。
熱い夏日に歩くのはたいへん!という人は、トゥクトゥクかタクシーで行くのがおすすめです。
カオサンロードエリアからのタクシーは所要時間約5分程度です。
タクシーを利用する場合、「ワットアルン」といっても日本人の発音では通じないことがあります。
タイ語で書かれた文字を見せるとスムーズに通じますので、用意しておくのがおすすめです。
水上交通を利用して行く方法
ワット・ポーから船で行くことができます。
「ターティアン船着き場」から、渡し舟か水上バスに乗りましょう。
いずれも30分おきに運航しており、所要時間は数分から5分くらいです。
ターティアンからワットアルンまでの船代は一人5バーツです。
船着き場にいるスタッフにお金を渡して乗船します。
船に乗っている時間は短いですが、チャオプラヤ川からワットアルンを一望できる写真スポットでもあります。
シャッターチャンスを逃さないようにしてくださいね。
BTSサパーンタクシン駅まで行って「サトゥーン船乗り場」から水上バスでワットアルンまで行くこともできます。
この場合の所要時間は約20分です。
ワットアルン観光のベストシーズン
バンコクは一年中温暖な気候ですが、季節感がまったくないわけではなく、雨季と乾季に分かれています。
ワットアルン観光におすすめなのは、雨の少ない乾季にあたる11月から3月までの期間です。
この期間は晴天が続くので、雨具を持ち歩く必要はありません。
ただし、日差しがきついため日焼け止め対策は必須です。
気温も高くなりますので、こまめに水分補給するなどして熱中症対策を行ってください。
逆に雨季は観光に向かないのかというと、そういうわけでもありません。
バンコクの雨季は6月から10月になりますが、日本の梅雨のように長雨が続いて外出しにくいということはありません。
バンコクの雨季はスコールと呼ばれる集中雨が降ってさっと止むという感じです。
雨が降るとヒヤッと涼しくなるので、暑いのが苦手な方はこの時期の方が快適に観光できるかもしれません。
ただし、9月から10月にかけて雨量が多くなりますし、特に10月の雨季の終わりごろとなると、各地で冠水被害も起こりやすくなります。
この時期の旅行を契約している方は、こまめに現地の気象情報をチェックすることをおすすめします。
ワットアルン観光の服装
ワットアルンは地元のタイ人にとって非常に神聖な場所にあたります。
訪問するときは、失礼な服装や行動を慎むようにしたいものです。
ワットアルン観光の際の服装としては、男性も女性も露出の大きな服装は避けるのが無難です。
ノースリーブ、ショートパンツやミニスカートなどは、礼を欠く服装となりますので、注意してください。
そうはいっても、暑い日にバンコクを観光してそのままワットアルンを訪問することもあるでしょう。
ワットアルンに入場する際、ふさわしくない服装をしている人には、羽織もののレンタルもあります。
また、サングラスや帽子もNGですので、ワットアルン内では外すようにしてください。
足元も、サンダルはふさわしくないとされています。
女性の場合、ヒールの高い靴も避ける方がよいでしょう。
本堂などの建物内に入るときは履き物を脱ぐ必要があるため、容易に着脱できるものが便利です。
ただし、仏塔に上る場合は階段が急ですので、滑りにくく履き慣れた靴を履いて出かけてください。
さらに、タイでは迷彩服が禁止されています。
迷彩服といえば軍人がよく着ていますが、タイではかつて軍人ではない人が迷彩服を着て悪さをすることがありました。
それ以降、軍人以外の一般人が迷彩服を身につけることが禁じられています。
迷彩服に限らず、寺院では派手な服装も慎む方が無難です。
ワットアルン観光の注意点
バンコクの観光地の中でも人気の高いワットアルンですが、観光の際には少し気を付けたいことがあります。
タイの寺院はとても神聖な場所ですので、ルールを守って訪問するようにしてください。
ワットアルンだけでなく、タイの寺院を訪れるときのルールには次のようなことがあります。
大声を出して騒がない
大きな声で叫んだり歌を歌ったりなど、騒ぐことのないようにしてください。
拝観の際は静かに回りましょう。
酒酔いでの入場は禁止
飲酒後に境内に入ることは禁じられています。
また、寺院内での飲食も禁止ですので、注意してください。
写真撮影
寺院内で写真を撮りたい場合、写真撮影してもよい場所かどうか、確認してから行います。
特に僧侶の写真を無断で撮影することは控えましょう。
僧侶や仏像を指で指さない
僧侶や仏像に対して、手や足で指さすことは禁止されています。
仏像の前で体育座りすることも、足の指で仏像を指す行為にあたるためタブーです。
女性は僧侶や仏像に触れてはいけない
タイでは女性が僧侶や仏像に触れることはタブーとされています。
寺院の外であっても同じで、交通機関などで僧侶に遭遇しても触らないようにします。
紫外線対策
タイ、バンコクの日差しは日本の夏よりも厳しいので、しっかり紫外線対策をして出かけてください。
寺院内での帽子やサングラス着用はできないことになっていますので、日焼け止めクリームを利用するのがおすすめです。
寺院内の散策もそうですが、アクセスするまでの交通手段によっては熱い天気の中を移動することもあるでしょう。
熱中症などの予防のためにも、飲料水を持参してこまめに水分補給することをおすすめします。
ワットアルンの営業時間と所要時間
ワットアルンの営業時間は午前8時から午後6時となっています。
でも、仏塔エリアは午前8時半から午後5時までの入場となっていますので、注意してください。
ライトアップは午後7時から9時ごろまでです。
付近にはワットアルンの夜景を楽しむのにぴったりのレストランなどがたくさんありますので、ライトアップされた姿は外から楽しみましょう。
ワットアルン観光の所要時間について、最低30分はみておきたいですね。
ゆっくり写真撮影しながら訪問する人は、約1時間くらいの余裕をもって計画すると良いと思います。
日没の時間帯に合わせてワットアルン周辺のレストランやカフェからの景色を楽しみたい場合、できれば予約していくことをおすすめします。
ワットアルンの日没風景は大人気の撮影シーンですので、この時間帯の周辺レストランは非常に混み合います。
観光繁忙期の場合、予約していないと入れないこともありますので、注意してください。
ワットアルン周辺の観光スポット
ワットアルン周辺には、バンコクでも有名な観光スポットが集まっています。
ここでは、ワットアルンとあわせて訪問したい周辺観光地をピックアップしてみました。
ワット・プラケーオ(王宮)
通称「エメラルド寺院」と呼ばれるワット・プラケーオはバンコクの観光スポットとして外せない場所です。
チャクリー王朝が興ったのと同時に建てられた寺院で、王室の保護寺院となっています。
かつてはワットアルンにおさめられていたエメラルド仏像が置かれていますが、この仏像は年に3度衣替えをすることで有名です。
時期によって異なる雰囲気のエメラルド仏像が拝観できます。
ワット・ポー(涅槃仏寺院)
「ワットアルン」「ワット・プラケーオ」と共に、タイの三大寺院となっている重要な寺院です。
巨大な涅槃仏が安置されており、最大の見どころとなっています。
これは釈迦が亡くなる模様を描いていますが、螺鈿細工で装飾された足の裏が特徴的です。
ワット・ポーはマッサージの総本山ともいわれており、伝統的タイマッサージが提供されていることでも有名です。
表情を変えるワットアルンを楽しもう!
ワットアルンの魅力と観光の見どころなどについて紹介してきました。
ワットアルンは地元の人々の尊敬を集めるスポットですので、礼を欠くことのないよう、参拝したいですね。
「暁の寺」と呼ばれるだけあって、朝日や夕陽に照らされた姿やライトアップされた姿など、時間帯によって表情を変える寺院の姿を楽しみたいところです。
異なるタイミングで、なんども訪問したいスポットです。
バンコク観光における街歩きの一部として、ぜひ計画に組み込んでみてください。